会計士にとって、監査法人だけが花開く場所じゃない

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後輩達の休職

先月、同じ部署の後輩達が立て続けに休職しました。

 

話を聞くところによると、どちらも精神的な疲労だそうで、暫くの間、休職となるそうです。

 

限られた時間で監査手続を実施し、仕事を終わらせなければならない監査法人では、繁忙期の疲れによる休職は、全くないわけでは無いのですが、今年になってからは、スタッフ世代の休職が多い印象です。(肌感覚ですが)

 

何が原因で休職になったのか。具体的な原因は正直わかりません。

 

ただ、彼らに共通していたのは、「優秀」ではあるのだが、監査法人で求められる仕事の面では苦労していた2人でした。

 

そして、偶然なのかもしれませんが、彼らは監査法人超売り手時代に入社してきた後輩でした。

 

 

 

試験に合格できれば誰でも監査法人に入社できる時代があった

さて、皆さんは会計士試験合格者向けの監査法人への就職市場が、近年超売り手市場だったという事実をご存知でしょうか?

 

かつて、リーマンショックの影響等を受けて、監査法人への就職が狭き門となった時代(超買い手市場時代)が8-10年程前(2010年頃)ありました。

 

しかしその後、徐々に回復し、5年ほど前(2014年頃)くらいから、監査法人への就職市場が売り手市場を迎え、ここ2.3年は完全な超売り手市場でした。

 

超売り手時代の監査法人のリクルート活動は、「接待」のようになり、『試験合格者の希望に合う監査法人になるための活動』が活発でした。(良識の範囲内で笑)

 

「自分の志望する部署に行けなかったら、別の監査法人への内定承諾をする」

と言って、監査法人のパートナーを困らせた就活生がいたとか笑。

 

真偽はさておき、就活生の立場が強く、「会計士試験に合格できれば誰でも監査法人に入社できる時代」が近年存在したのです。

 

しかし、内定者全員が監査法人の環境に合うとは限らない

「会計士試験に合格できれば誰でも監査法人に入社できる時代」

 

会計士試験に合格しても就職先が無かった就職氷河期の世代の先輩方からすると、なんて贅沢で、いい時代なんだと思われるでしょう。

 

しかし、そんな「黄金」時代にもしっかりと弊害があるのです。

 

それは、「監査法人の仕事が合わない人」も監査法人に入社できてしまったということです。(注「監査法人の仕事が合わない人」≠「非優秀」)

 

 

近年の「超売り手市場」の就活生は、就職活動に対する「必死さ」が氷河期世代と圧倒的に違いました。

 

「必死さ」がない就活生は、自己分析、自分に合った環境かどうか調査しなくなり、試験に合格したみんなが就職している監査法人に「とりあえず入社」したのです。

 

会計士として、高水準のお給料がもらえる監査法人は、いい環境ではあるのですが、一方、真面目すぎるとどんどん自分を追い込んでいってしまうことができる環境でもあるのです。

 

そのような環境に会計士の試験に合格したからといって、試験合格者全員が監査法人の環境に合うはずがありません。(どの業界でも自分に合う、合わないは残念ながらあります)

 

リクルートの売り手と買い手の均衡が取れている時代は、監査法人の仕事が合わない人が、もし監査法人へのリクルートをしても、ご縁が無かったと思われます。(監査法人に縁がなかっただけで、その人には合う縁が別に必ずあります)

 

しかし、超売り手市場という不均衡な状況では、監査法人の仕事が合う、合わない関係なく、全員入社できるが故に、自分に必ずしも合ってない環境(監査法人)に入ってしまった試験合格者が続出しました。

 

自分に合わない環境に入って、環境に適応する人もいますが、できない人も、もちろんいます。

 

適応できない人がどうなるかはもう言わなくてもわかりますよね?

 

会社も職員にも悲しい出来事が起こってしまいます。

 

 

監査法人で苦労したが、別の場所で花開く会計士は多くいる

監査法人に合わなかった方が、非優秀ということは断じてなく、別の側面から見ると、とても優秀な方がなのです。

 

昔、監査法人という環境では活躍できなかったが、別の環境でしっかり自分の花を咲かせている会計士の方にお会いし、お話を聞いたことがあります。

 

その方は、かつて監査法人の評価で下位5%の人事評価をもらい、昇格できなかったことがあったそうです。

 

また仕事が上手く出来ず、チームに採用(アサイン)されず、事務所待機になったことも何度もあったそうです。

 

その結果、「監査法人になんていれるか!」と入社から2年半で退職されたとか。

 

その後、海外で働き始め、独立して活躍されています。

 

おそらく、その方は監査法人では「問題児」だったのしょうね。

 

しかし、監査法人退職後、自分の道を開き、自分の花を開いています

 

環境が変われば花開くのです。

 

今いる環境に居続けるかしっかり考えよう

今回の後輩君達や、自分に合ってない環境で苦労して辞めざるを得なかった同僚を見て思うのは、おそらく別の環境なら花開く人達なのだという事です。

 

監査法人だけが、会計士のフィールドでは無いんですよ。

 

ただ、近年売り手市場故に、誰でも監査法人に入れてしまった。

 

試験に受かれば誰でも監査法人に入れるって、正直残酷なのです。(監査法人に就職したくても出来なかった世代の方からすると贅沢な悩みですが)

 

そして、今や試験に合格してないくても、監査法人に入社できますし、正直合格者より、仕事出来る方も多い。

 

会社は学校ではないので、自分の花を開く環境は自分で見つけて飛び込んでみるしかない。

 

自分のいる環境を愚痴るのもいいけど、自分をしっかり分析して、行動に移してみるのはいかがでしょうか?

 

あなたの花はあなたしか開けないのだから。

 

 

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